805 DIYプリント基板の現在(3)
実例を一つ示しましょう。
これはaitendoの「リチウムイオン電池充電キット [AKIT-4057S]」です。
要らなくなった携帯の電池などをポケットLEDランプなどに転用するには
非常に便利なので私は愛用しています。無断で写真を引用したので
お詫びのためにも宣伝させてもらいます。
このブルー地の絵が、たぶん基板パターンができた時の形です。
それをハンダが乗る部分以外を赤い塗料で塗ったものが製品の基板で
この赤い塗料のことを「ソルダーレジスト」と言います。緑、青などが多いです。
それにチップ部品をハンダ付けしたものが右下の完成図で、この基板は3.15x1.41cmです。
この程度の基板でもハンダ付けする場所が24ヶ所ありますから
10cm角程度の基板なら百箇所以上のハンダ付けは普通にあります。
さすがに個人でやるレベルで大掛かりな機械設備は導入できませんから
それと同等に近いものができる方法を模索するのがアマチュアということになります。
「フロー」と同じ考え方でハンダ付けをするのですが、ハンダ槽のような大きな設備を
要しない(まあ5cm角程度のもありますが)方法が「リフロー」で、メーカーでも使う方法です。
これは、最終的にハンダが流れる部分に、あらかじめペースト状のクリームハンダを
置いておき、その上にチップマウンターで接着する代わりにチップ部品を置くのです。
そうして、これをオーブン的な設備で全体を加熱すると、クリームハンダが溶けて
チップ部品も無理のない場所に収まるという方式です。この「オーブン的設備」を
DIYでするにはホットプレートやオーブントースターを使う人が多いようです。
How to: Reflow Surface Mount (SMD) Soldering Tutorialより
この方式の一番難しいポイントは、上で書いた「クリームハンダを置いておき」という
部分なのです。上に書いたように10cm角の基板でも抵抗やコンデンサーなどは数十個
ありますからハンダ付けの箇所は百以上は普通ありますし、
チップ部品と0.65mm以下のピッチのICの足ですから、ハンダ付けする場所は
0.2mm×0.5mm程度の長方形なのです。つまり、このサイズのクリームハンダを
ランドの場所に百箇所以上置かなければならないのです。
どうやったらこれができるかと言えば、型染めやシルクスクリーンと同じ
「ステンシル」を使うのです。元々の回路もCADで製作しますから
CADのレイヤー(層)の一つとしてステンシルのレイヤーを作り
これを実物大で紙とか金属で作って基板の上に当てて、型染めで
絵の具を使うように、クリームハンダをヘラでスクイーズすると
穴の場所にハンダを置くことができるのです。
How to: Reflow Surface Mount (SMD) Soldering Tutorialより
つまり、DIYでリフローを使う基板を製作する上での最大の難関は
「いかにしてステンシルを作るか」なのです。
これについては、DIYレベルでは3万円程度でカッティングマシーンを買う
という選択肢と、缶ビールなどの缶をばらして得たアルミ薄板に基板と同様
トナー転写して、これを塩酸+オキシドール液でエッチングするという
選択肢がありますが、後者のメタルマスクの手法が確立されてきました。
基板に比べるとエッチングする部分が非常に小さいのと素材がアルミなので、
直視下で注意深く行わないと腐食が行き過ぎるようです。
http://lowpowerlab.com/より引用