852 再度偽物をつかまされる
「ぜひトライしてみてください」で終わっては、やはりいまいちすっきりしません。
というわけで、同じ価格(5個で400円程度)で売っている同じもの(ATtiny2313A-SU)を、
今度は香港のセラーで、商品写真が違い、また読みとれるロット番号も、
つかまされたやつと大きく違うものを選んで注文しました。
3週間後に来たものがこれです。
パッケージは中国郵政の封筒で、日本で言えば小型包装物(small packet)に
最初から税関告知書(CN22)が印刷済みでクッション入りシール封筒です。
非常に使いやすそうなので、私がebayで買うようなパーツ類で、郵便受けに
届くタイプのものは、最近はほとんどこの包装で届きます。
封筒が全く同じなのはそういうわけなのですが、驚くのは内容物、
つまり問題のSOIC版ATtiny2313Aの包装が、つかまされた前回と
全く同じなのです。写真にはピンクのクッション材に4個のチップが並んでいる
のが見えますが、裏側にもう一個、これをサージカルテープでぐるっとひと巻き
してありますが、これがどうみても全く同じなのです。クッション材の大きさと
並べ方、テープの材質とその巻き方まで全く同じとなると、これの解釈は
つまり、この状態でセラーが仕入れている、ということで、前回の封筒は
破棄したので、詳しい発送元所在は不明ですが、少なくとも香港では
なかったので、この全く同じ包装から推測できるのは、卸元が大量に商品を
仕入れて、これを5個や10個単位のパッケージにしたものを大量に作り、
これを大学生とかの個人セラーに小口で卸しているということです。
科学技術関係は広東省あたりに多いので、あのあたりで、ニセモノチップを
作る工場と大量に安価でさばくディーラーがいるのでしょう。
ebayのリストを見ると、価格、写真、商品の説明まで全部同じで
セラーだけが違うのですが、たぶんここらへんのアップロード材料も同時に
供給されるのでしょう。
ただし、DIP版のtiny2313Aもこのパッケージとあきらかに同一の
包装法だったのに、こちらは本物だったのです。これを解釈すると
「つかまされた」のは私とセラーだけでなく、卸元もだということなのです。
左が本物、右がニセモノです。印刷が薄く、ほとんど読めません。ただし、
動くDIP版もこの印刷なのです。すると、ニセモノでも動くやつもある?
商売柄、X線撮影してみました。一見同じようにシリコンチップがありそうです。
モールド材の透過度がニセモノの方が低いのは不純物が多いのかな?
中心に見えるチップから放射状に出ている細い白線に注目してください。
こちらが本物でシリコンチップとリードフレームをつなぐワイヤーが見えます。
こちらはワイヤーが見えません。つまり足はどこにもつながっていません。
「IC」というのは言うまでもなく、中心のチップのことであって、それと
足とは金やアルミの細いボンディングワイヤーでつながっているからこそ
このIC「パッケージ」が基板上で動作するのです。
つまりニセモノは最終工程の「パッケージ」だけだということです。
とりあえず、この価格で売っているこの商品に限っては、どこで買おうと
すべて元は同じ、すなわちニセモノである、という結論になります。