856 カブの車載工具を考える
新カブの車載工具はドライバー一本で、しかもそれを取り出すためには
ドライバーが必要※という非常にシュールな存在なのですが、
※このドライバーはシート下のバッテリーカバーに収納してあります。
この場所の蓋はコインでネジを回してあけるのですが、実際には
前カバー、レッグシールドを外さないと蓋が割れるおそれがあります。
では、このカブには本来どのような車載工具が必要なのか、を考えるとき、
例えば5年間乗り続けたとき、少なくとも自宅あるいは修理施設まで
行けないで、その場でなんらかの対策をしなければならないのは
どういう場面なのかを考えたいと思います。
まず一番ありそうなのはガス欠です。このカブの燃費はだいたい60Km程度です。
昔は普通だった燃料コックR側が予備燃料に切り替え方式は
さすがのカブにも今はありません。燃料ドロしほうだいですからね。
タンクの最大容量は4.3リットルですが、燃料計がEになったときに満タンに
すると約3リットル入ります。つまり、メーター読みがEの時に、残り1.3リットル
ということは、まだ100Kmくらいは走るかもしれないのですから、キーを抜いたときの
Eより2mmくらい下が完全に空の表示とすると、この2mmが100Kmということで
今現在どれくらい走れるかの判断は実に難しいと思います。
常にもうちょっと行けそうな気がするのが曲者ですね。
これに対処するには予備タンクです。私の通勤距離は10Kmですから
200mlのガソリンがあれば必ず着くので、缶ジュース一本分のガソリンを
携行するだけの話ですが、ガソリンを入れる容器は密閉性だけでなく、
素材の耐性、割れないこと、静電気が起きない、気化の処理とか考えると
「ガソリン携行缶アルミボトル500ml」というのがよさそうです。
まあ「Eを過ぎたら早めに入れとけ」だけで、実際には要りませんね。
次にありそうなのがパンクです。カブ110は前が70/90 R17、後が80/90 R17の
チューブタイヤがついています。これに対応するチューブは幅2.5と2.75インチと
いうことになっていますが、両方に対応するチューブ一種類でOKです。
一番よく遭遇する、釘がささったパンクの修理手順はこういう感じです。
1.釘をペンチで抜く 2.タイヤレバーでリムから外してチューブを引っ張り出す
3.穴を特定し、周囲をサンドペーパーで荒らす 4.接着剤を塗って乾燥する
5.パッチを貼って叩いて密着させる 6.タイヤを復元して空気を入れる
これらの用具を左側のサイドカバー内に「パンク修理セット」として入れました。
空気入れ(小型コンプレッサー)は荷台のRVBOX内に収納、電源は
右サイドカバー内に設置したPCドライブ用電源コネクタから取ります。
しかし、仮にこの事態に遭遇するのが夜の場合だと、作業用の照明が要るし、
チューブの穴が確認できない場合には、水につけて気泡を確認する作業が
できる環境や、パンク部位を示すチョークなどもほしいところです。
まあこれもなくてもかまいませんね。
しかし、場所がわからない、あるいは穴が複数、あるいは穴でなく切傷の時
これはチューブを交換したほうが確実です。書いたとおり、2.5*17のチューブを
一本携行すれば作業自体は修理より早いかもしれません。
この場合はフロントフォーク、あるいはスイングアームからホイールを外す
という作業で、車軸(アクスル)ナットを緩めるためには14mmと19mmの
メガネレンチ、ブレーキ回りやチェーン回りを外すには10、12、14mmの
スパナが必要です。スプロケット回りを外すには肉薄の10、12mmの
ソケットレンチが必要です。ここまで来ると携帯工具ではちと無理でしょう。
ただし、事態を把握するためにも夜間の照明は欲しいので
パワーLED1Wを3個使って12V200mA程度のかなり明るい照明を
作り、これを空気入れ用の右サイドカバー内のコネクタから分岐して
取れるようにしました。バッテリーは3Ahなのでエンジンを回さない
場合でも計算上は15時間程度使えることになりますが、基本的には
30分以内程度だと思っておいたほうがいいでしょう。
ところで、自動車なら故障の上位に来るバッテリー上がりですが、これについては
心配する必要がありません。というのは「キックがあるから」、という
単純な話ではなく、このエンジンは燃料噴射方式で、当然電力で制御しますから、
バッテリーがなければ燃料噴射も点火もできません。しかし、そこはHONDA、
キックのわずかな電力でも動く噴射装置を装備しれているのです。
非常時の照明程度なら発発がわりになるかもしれませんね。
パンク以外の小さいトラブルは現状の工具でそこそこ対処可能で
ホイールを外すところまでは現場ではやらない、ただし、
頭がナメても19mmを回す必要があるときのためにダイソーの
200円フリーレンチも携帯工具に一応入れてはおきます。
さて、前車同様10年間使わずにすめばいいのですが。