861 レベルが1つ上がった
チャラッチャッチャッチャーンと、これはドラゴンクエストのレベルが一つ
上がった時の音楽です。勇者イエヤスが荒野に出て弱いスライムを倒しまくって
やっとレベル2になり、HPとMPがすこしづつ上がっていき、ある程度のレベルになると
ホイミの呪文を覚えたりするわけですね。
で、勇者イエヤスは一昨年にあまぞんの売店で竹割鉈を買い、昨年秋に某所から青竹を
もらったままになっていたものを、季節もよくなって来たので、以前から懸案だった
自作蒸籠の蓋の修理にとりかかったわけです。これは元々40年くらい前に中華街で
安い飲茶用の蒸籠を買って胴は全部割れたものを蓋だけ使っていたものです。
今回竹をもらったので汚いなりになんとか修理したのですが、とても人に見せられる
ようなものではありません。ま、この写真内にある蒸籠なんですが。
結局、あの笊状の蓋になる薄い竹が入手できないのです。最終的に理解したのは
要するに竹細工というものはこの「籤(ひご)」作りがすべてなのだ、ということで
それなら、どこかで竹材を買ってきて薄く切り出せばいいのか、というと、そんな
話ではなく、丸竹を切り出す、2分割づつ縦に割っていく。4つが8つ、8つが16、
16が32本くらいに割れたら、こんどはこれの厚みを半分にして、これは外側だけを
使うのですが、さらにそれの厚みを半分にして外側だけを残すと
皮のついた1mmくらいの厚さの籤ができるので、これの皮目だけを剥ぎ取ると
皮目と皮下の2枚の材料ができるという、ちょっと話を聞いただけでも
「あ、そりゃ無理だ」とすぐにわかる話なのです。
この厚みを半分にしていく作業を「へぎ(剥ぐ)」と言いますが、
これが最大のポイントで、この技術を習得できないものは、全く竹細工の
入り口にも立てないのです。
籤を作る部分だけでも誰か教えてくれないか、と思ってずいぶんyoutubeなどを
見たのですが、もちろん動画もいっぱい転がっているものの、実際にやってみても
とてもあのようにはできません。そんなとき、ついに出会ってしまったのが
「ニシカワ塗装」老師です。この人も8年くらい前はアマチュアだったという
だけあって、まさに私が知りたかったポイントを教えてくれたのです。
そういうわけで「勇者イエヤスは『へぎの技』を覚えた。レベルが3に上がった」
写真はさっそくその技で蒸籠の蓋をやりなおすべく網代格子に編んだところです。
粗い実用品ですから幅も厚みもきれいに揃えていませんが、まさに私が
望んでいた材料なのです。こりゃ老後の(もう老後になってるつーの)
楽しみが増えたな。
ちなみに、私がわからなかったポイントは「いかにして同じ厚みでへぐか」です。
やってみるとわかりますが、同じ厚さで竹をへぐことはまず無理です。
それを「基本は手でへぐ、そして引っ張る側が薄くなっていく。」
これが決定的で、これさえわかれば後は練習だけなのです。