864 武器製作ダンジョン
ダンジョンの中で迷っているうちにもう一つのダンジョンに
つかまりました。それは「武器を作る」というものです。
なにしろゴールドがないし、そもそも竹細工というもの自体
横井さんのような(若者は誰も知らん)境遇に身を置かれた人が
サバイバルの一つとして身近にある材料で道具を作るという
あるいはアジアの民が武器や生活用具を必要とするときに
それこそ大は家から小は箸、串まで最も多用される材料の
一つでもあります。
であるならば、これを加工する工具も必然的になにもないところから
すべて自作することこそ正しい竹細工という・・・ダンジョンなのです。
ところで話は全く逆なのですが、竹を割るための工具で一番簡単に
買えるものは竹割鉈です。私も一番最初にこれを買ったのですが
実際にやってみてわかったのは、実は竹細工というものは
0.1mm単位の精度が必要なものだということでした。
大げさに言っているのではなく、実際に作品を作られている方の多くは
マイクロノギスで厚みを測っています。ではありながらも、実際には
量をこなすことで、測らなくてもそれがわかる、という世界でもあります。
たしかにこりゃ迷路で、しかも数をこなすことでしかレベルが上がらない
まさにRPG的思想の世界です。
むろん入門者は測らなければわかりません。しかしひごが作れるようになると
実は竹割鉈は重すぎて使いづらいのと、微細なコントロールが難しいのです。
では比較的軽い竹割包丁は、というと、毎回こればっかしですが
ゴールドが足りないのです。また、自分で顧みるにそんな高級品を買うほどの
腕もありません。なんせまだ入門しているかどうかすら微妙なのですから。
そこでもう少し使いやすいものを自作となるのですが、竹割包丁には
切れるという要素はあまり必要ではありません。しかし、目的の場所を
「へぐ」には竹に食い込む薄い直線の刃が必要であることも事実です。
しかし、この工程の時には32割で最大でも10mm前後の幅になっているので
大きく割る部分を鉈ですませるならば、刃長は5cmもあれば、ほぼいけます。
ここでも「やふおく」で出刃のやや薄手のものをと思ったのですが
これは落札寸前で10円上がったことに気づかず失敗しました。
しかし考えてみれば、出刃は片刃なのです。つまり、ぱっと見てわかる
研いである刃が見える先端の部分、あれが鋼なのですが、実は裏は平面で
これが日本の包丁の特徴です。つまり、軟鉄が片側だけについているのです。
これはカンナもノミも共通ですが、日本刀は違います。
これは断面図で、白が軟鉄、黒が鋼、赤い線から外側を削り落として刃物にします。
日本刀は裏から見ても表から見ても刃が見えます。つまり両側に軟鉄があって
例えればサンドイッチのハム=鋼をはさむパンになっている、これに対して
包丁は上のパンをとってハムが露出している形なのです。
ところで、竹割道具の特徴は断面が左右対称:舟形であることです。
竹を割るときには片側だけに力がかかると、そちらが薄くなっていく
というのが大原則で、これを理解したことで「へぎ」ができるように
なったのです。つまり手元の微妙なコントロールで左右に均等に
力をかけられる、つまり日本刀のように両刃でなければならないのです。
で完全に切れなくなったステンレスはさみをばらしたもので作ったのが
これです。基本的に竹割包丁の形を踏襲していますが、さすがにこれはこれで
小さすぎて4つ割りくらいだと竹に負けてしまいます。
ウーム迷路は深くてゴールは遠いな。