894 年末年始工作・17cm蒸籠の製作(2)
これがおおまかな設計図ですが、こういう風にできれば苦労はありません。
まず最初の難所が「厚さ2mmの板の入手」です。単に2mmの厚さというだけなら
ホームセンターに行けばベニヤ板をいくらでも売っています。むろんこの
veneerというのは「上貼り」のことですから、基本的に何枚かの薄板を貼って
できています。あるいは「合板」という言い方をするものがこれです。
ところで、蒸籠というのは沸騰した水の蒸気で調理するものですから、当然
内部は100°Cで湿度100%と言う環境です。ここにこのような板を使うと
もう目に見えるようですね。接着剤が軟化して厚さ1mm以下の木は膨潤
そして枉げられた応力が解放されて元の平板に戻ろうとする、その結果
合板の間に水分を含んでぶよぶよの3層くらいに分かれ、あるいは接着剤の
成分が蒸気に混じって有毒な環境となる・・・
つまり、材料として「合板は使えない」この一点だけで、ホームセンターの
板材売場の99%までは全く対象から外れてしまうのです。
貼り合わせていない、原木から切り出しただけの状態の板を「無垢の板」と言います。
つまり欲しいのは「無垢の厚さ2mm」それも10cm×60cmの大きさが欲しいのです。
この時点で、ほぼすべてのホームセンターやネットショップで入手するのが
絶望的になります。
今回は唯一入手できる5cm×90cm×2mmのヒノキ板を使いました。檜風呂だと
いい香りと言われるあの独特の香り、あまり調理には歓迎されませんが
やむを得ません。これで作らないと、残る手段は厚さ3mmや5mmの板を
自分でなんとか加工して薄くするしかなく、とても均一にできる自信がありません。
この「厚さ2mmの板」は設計図で見る、本体部分の簀子を支える底の内筒と
蓋の網代格子を支える内筒(オレンジ色)、そしてメインの食物に接する一番内側の部分(緑色)です。