906 廻り縁(まわりぶち)の補修
我が家は築27年のセキスイハイム パルフェという、そこらへんを一周
すればどこかに1軒はあるようなありふれた軽量鉄骨家屋であって
個人的には、これでよかったと満足しています。工場で作られるので、
この機種というべきかもしれませんが、このタイプは、陸屋根を
エンビ被覆鋼板の波板で葺いていますので、非常に軽量で雨漏りも
まず考えられません。
ところが、我が家に限っては、北側に隣家(というべきか大会社の社宅
マンション)があるために「北側斜線」という問題があるのです。つまり
我が家の影が北側にある家屋の採光をさえぎってはならないというもの
ですが、そっち側は社宅の庭で、住居は全くありませんし、これから先に
建物も建たないはずですが、法は法ですから仕方ありません。
標準的に建てば非常に完成度の高い設計なのに、屋根の北側を「面取り」
してしまったために、北東と北西の角が庇が全く無いウイークポイントになって
しまいました。本来家の換気を良くするためにあえて天井と外壁の間に
設けている隙間から暴風雨の横殴りの雨が侵入してくるのです。
それで、室内側はどうなるかというと、外壁と屋根の境目あたりから
侵入した雨水が、今度は内壁と天井の境界あたりに侵入してくるのです。
天井のボードには断熱材が載っていて、壁のボードの先端あたりは天井の
ボードとわずかな隙間があってこれで建材の通気を行っているのでしょうが
そこに空気ではなく水が侵入して来たときには、室内側の壁と天井を仕切る
廻り縁の周辺が水を含んできて、量が多い時には室内の壁紙の上端から
水が壁を濡らして来るのです。それを27年繰り返したことによって
この面取りの角に相当する廻り縁が浸水膨潤してねじれてふくらんだ
形になってしまいました。
これは北東の角ですが、寝室のある北西の角もほぼ似た状態になっていますので
この水が垂れた跡がついている壁紙を張り替える前に、この部分の廻り縁を
斜め部分を20cm、水平に移行する部分を5cm水平部分を90cm、切り取って
除去しました。膨らんだ本体は層状に剥げる紙かパーティクルボードのような
材質で、その表面はダークウオルナットのフィルム貼りで仕上げてあります。
そりゃ膨らむわけだ。本物の木材は膨らんでもまあ5%程度でしょうが、これは
倍近く膨らんだ部分もあります。そこで、変形してない部分を切って
この断面を計測してみました。この図は上下が逆になっていて、角が面取り
してある部分が室内の下側になります。それぞれ5mm程度端から切り取ってある
部分が天井壁紙と、垂直面の壁紙上端が入り込むスペースです。
この39.5×18.5mmというサイズを見て、これはツーバイフォーの系統だなと思い
調べてみたら1×2が38×19mmでほぼ同じです。
しかしSPF材ではあまりに白過ぎるので、オリジナルと同じような
ダークウオルナットのフィルムを貼ることも考えましたが、オリジナルのような
圧着でなく接着剤で貼り付けるやりかたでは、経年劣化や耐水性に不安が
あり、そこだけを後から補修するのは逆に難しいので、できるだけ似た色調の
油性塗料で塗りました。
これで北西の角を仕上げて、窓からコーナーを含めて100cmぶん壁紙も
張り替えたのがこの写真で、角は天井壁紙も剥げて裏がカビだらけ、下地の
石膏ボードも一部崩壊していたのをいいことに、この穴から手を突っ込んで、
手の届く範囲の外壁側の隙間にエアコンパテを詰めまくって防水を図りました。
廻り縁を留める構造材の上の隙間もジョイントコークでシールしましたので、
少なくとも今までよりは防水性が増したはずです。
遠目に見ると、ほぼ見分けがつきませんが、実際にはこういう感じで
継いであります。斜め部分は30cm+5cm程度なので、変形して除去した廻り縁から
剥がしたフィルムを接着剤で貼り、水平部分は継ぎ目だけにこのフィルムを貼りました。
石膏ボードの穴は竹ひごをわたして壁補修パテで修復しましたが
天井壁紙が腐食していたこともあって。ビシッと平面にならず、若干だれた
感じに終わったのはやや残念ですが、まあパッと見には充分きれいです。