923 光重合レジンが面白い(2)
ではこれのどこが面白いのかといえば、それは「即時重合」
それも「光線による即時重合」が面白いのです。重合というのは
先に述べた構造が長く鎖のようにつながった状態で、「レジン液」の時は
これが全部バラバラになっている状態で、この形を「モノマー」
鎖のように連なった状態を「ポリマー」といい、液体状のモノマーが
鎖のようなポリマーに変化することを「重合」といい。例えば私の業界で
入れ歯で見るあのアイボリーの歯やはぐきの色をしたプラスティックは
標準的には釜で煮ることによって重合します。あるいはこのモノマーと
ポリマーを混合して放置しておくと時間が経って重合したりします。
多くの接着剤はこういう形で重合を行うのです。
では即時重合というのは、この液体モノマーが即座に固まることを言いますから
例えば瞬間接着剤ではシアノアクリレート液が水の分子に触れることで
急速に重合します。あれのやっかいなところは望まないのに指についた瞬間に
固まってしまう割には、物体同士をつけようとしても固まらないことで、
固まるタイミングを自由にコントロールできたらもっと便利なので、
私は硬化促進剤スプレーを便利に使っています。
では接着剤ではなくガラスのようなアクリル樹脂を自由にコントロールできたら
という目的で開発されたものが「光重合レジン」で、これは液体に光線を
照射することで重合します。私の業界で使うものは「可視光線重合」つまり、
眼に見える、虹の色で言うと波長が短い「青藍紫」(515nm以下)あたりの光を使いますが、
今回のレジン液とかネイルで使うものは、それよりさらに波長の短い紫外線を
使います。この目に見えないUltraViolet=UVは太陽光には充分に含まれているので
眼にも肌にも有害であることはご存じのとおりです。
つまりこのレジン液は太陽光に曝しておけば固まるのですが、それでは自由に
コントロールできるとは言えません。そこで、紫外線の照射装置を使えば
固めたい時と場所で即座に固まってくれるのです。
では、この紫外線の照射装置を作ってしんぜよう、という長いイントロでした。