雑踏の誘惑

台南聖地巡礼篇


9〜13,Aug.2002

北村 家康


画像   画像
台南小北夜市、サバヒー湯飽食、虚脱         位置関係図

前書

私はタイトルにもあるように中国社会の雑踏に強く惹かれています。なかでも台湾の夜市にある屋台の食べ物は種類も多く、どれを食べてもはずれのないおいしさです。台湾の中でも特に台南にはおいしい屋台の食べものが多いことで知られています。NIFTYの東アジアフォーラムを母体にした「臺南虱目魚粥の倶樂部」(サバヒー粥のクラブ)というのがあり、台南を「聖地」と定めて、台南にサバヒー粥を食べに行くことを「聖地巡礼」と位置付けています。私はメンバーではありませんが、いつかはこの聖地を巡礼して台南の小吃を食べまくってやろうと思っていました。香港も少し目を離すとどんどん様子が変わってしまいますので、この際、一番暑い季節に台南と香港を一緒に回ってしまおうということになったのです。
日程は
1日目:成田→中正国際航空站(台北泊)
2日目:台北→(国内航空)台南(台南泊)
3日目:台南→(鉄道)→桃園→中正国際航空站→香港(香港泊)
4日目:香港滞在(香港泊)
5日目:香港→成田
という4泊5日の旅行です。


1日目

日程が8月の繁忙期の直前であるせいもあって道路は大渋滞で、インターネットの道路情報の助けでぎりぎり出発20分前に成田空港に着いて、なんとか乗り遅れないですみました。おなじみの相棒の廣澤さんがマイレージで航空券を入手したこともあって、今回の旅の多くはJALグループのエアーとホテルになります。


JAAの203便は一時間近く遅れて出発した割には到着は全く正確で、現地時間13時55分に滑るように台北中正国際航空站に着陸しました。外に出てみるとさすがに暑く、と言っても東京よりは過ごしやすい感じです。なにしろここのところの東京は連日35度前後ですから、たぶん赤道直下でもそれほど変わらないような気がします。

画像  画像
          飛狗巴士           餃子が主食の廣澤さん

台北の街まで行くバスは数社あるのですが、今回泊まるロイヤルタイペイ(老爺大酒店)の比較的近くの吉林国小という場所で止まる「飛狗巴士」(なぜか英名は「flying dog bus」ではなく「free go bus」)に決めました。NT$135です。今回は1NT$は約3.8円くらいですから518円というところでしょうか。ちなみにタクシーではNT$1200(4500円)というところなので、ちょっと利用するのは無理でしょう。飛狗巴士に乗って台北市内まで来ると、いきなり激しい雷雨で、とてもホテルまで歩けるような天気ではなくなってきました。

画像台北老爺大酒店

吉林国小で降りてタクシーをつかまえ、とりあえずホテルに入りました。タクシーの基本料金は1500mまでNT$70(266円)です。NT$100紙幣が新しくなったので、いきなり受け取りを拒否されてしまいましたので、すぐにホテルのフロントで新札に替えてもらいました。このホテルロイヤルタイペイですが、建物や設備という意味ではそれほどゴージャスではないですが、JALグループのホテルなので、従業員のホスピタリティという点においては、最も外省人(=中国人)的であると思われる圓山大飯店よりも数段上だと感じました。部屋もウエルカムフルーツなども用意してあってかなり豪華で、どうやらJALのマイレージのおかげのようです。

画像 画像
台北のCITIBANK ATM(部分)      九龍のCITIBANK ATM(部分)

ひとまず荷物をおいて現地通貨の調達にでかけます。今回は廣澤さんのCITIBANKの口座からATMで引き出すという作戦です。CITIBANKは香港、台湾、北京、むろん東京にも多くの支店やATMがあり、手数料なしで現地通貨が24時間引き出せます。ホテルのフロントに聞いて、南京東路と松江路の交差点(図の9番)にあるということがわかったのですが、後で検討してみると、ホテルのすぐそばにもありました。教えられた場所までときおり降る雨の中を歩きます。このATMはカードを挿し込むとドアのロックが外れる仕掛です。これでNT$を手に入れたので、翌日の国内便と台南のホテルを予約しに、松江路を1ブロック北に行ったところにある「勝美旅行社」に行きます。ここは全員日本語が話せ、日本からのFAXも受けるという日本人旅行者の強い味方です。

画像 画像
24時間営業のCITI BANKのATM      全員日本語が通じる勝美旅行社のオフィス

翌日10時40分発の復興航空527便と、台南大飯店の予約ができました。松山−台南の飛行機が約8000円、ホテルがツインで12000円です(計NT$5600)。宿と足の確保ができたので、ここから比較的近い光華商場にタクシーで行きました。台湾ではPCのコピーソフトはほとんど見ることができません。台湾で安いのはやはりこちらで作られる周辺機器やCD−Rなどのメディアです。地下のAVなどもあまりたいしたものはありません。脇にある「新光華商場」というさびれた地下のどんづまりで、シャッターを半分空けて裏物のCDを売っていました。香港に比べると倍くらいの値段だったような気がします。

画像 画像
CD−Rは一枚15円くらい         こういうものは・・・ま、こういう感じ

だんだんいい時間になってきたので、夕食に行きます。今回は出発前からの廣澤さんの強い要望で、台北での一食は鼎泰豊と決まっていました。鼎泰豊は高島屋に支店がありますから日本でも非常に有名ですが「世界一おいしい小籠包」だとか、個人的には、そこまで並んで高い金を払うほどのものかなあとは思っていますが、おいしいことには変わりがないので、それほど強い異存もありません。

画像 画像

鼎泰豊は信義路二段にありますが、最近では台北でも30分以上並ばないと食べられないという話です。香港の翠景粥麺もそうですが、結局こういう店を駄目にしていくのは名前をありがたがって並ぶ日本人なのではないでしょうか。私は並んでまで食べなければいけないものがあるとは思わないし、客を並ばせるということで、その店の評価を5割くらい引くことにしています。
 そこで、並ばずに食べられる、最近できた「忠孝店」に行くことにしました。光華商場から1Kmというところでしょうか。さきほどCITIBANKまでも歩いたので、一日目としては歩きすぎていると思いますが、タクシーという距離でもない微妙なところです。店につくと、それでも10分くらいは待ちましたが、まあそれほどの混雑ではありません。あらかじめ日本語の注文用紙もありますので、それに記入しておいて、席に着くとすぐに出てくる仕掛です。小籠包15個、野菜餃子10個、牛肉スープでNT$530(2014円)、これは屋台のものに比べると3〜4倍の値段です。まあ美味いからいいですが。

画像 画像
まあ美味いからいいや         小籠包、野菜餃子、牛肉スープ

食後「おたくなものが見たい」という要望で、西門町蛾眉街の「萬年商業大楼」を案内しました。ここには恰日族(ハーリー族:日本マニアの若者)御用達の日本製品、アニメグッズ、日本アイドルのCDや写真などと共に最上階には模型マニアのための店が並んでいます。手先の器用な人が多い国ですから、かなり精度の高いものも多く並べられています。雨は相変わらず降っているし、足もいいかげん疲れてきたので、一旦ホテルに戻ります。考えてみれば、到着してからほとんどそのままここまで来ています。最初からこんなに濃くていいんでしょうか。

画像 画像
士林夜市のパンツ屋         夜市の中にある食べ物屋街

一旦風呂など浴びて、荷解きをして10時半くらいから士林夜市に出撃しました。雨が降ったりやんだり、あるいは警察が来たりで、路上の店はその都度出したり引っ込めたりしていました。特別面白い物もなく、12時近くなって小腹がすいたので、屋台に毛が生えたような店で、水餃子と微糖の烏龍茶(台湾では砂糖が入っていない缶入り烏龍茶はほとんどない)、香俣[火庚]麺を食べました。二人でNT$160(600円)です。食べすぎで苦しいお腹をさすりつつ、タクシーでホテルに戻りました。

画像 画像
屋台とそれほど変わらない         初日から飛ばしすぎだっちゅうの

ホテルに戻って、デジカメの内容をノートPCに移し、一日の記録を打っておきます。so-netのローミングサービスは、このロイヤルではPC用の電源とジャックが用意してあるにもかかわらず、ついにつながりませんでした。たぶんGRICの電話帳が古かったのだと思います。GRICはアクセスポイントにつないでから電話帳の更新をする仕掛ですが、番号が古い時には、そのアクセスポイント自体につながらないので先に進みません。たぶん、日本のアクセスポイントにつないで、電話帳を更新してから出かければよかったのだと思います。こうして、成果のないまま2時過ぎに疲れ果てて寝ました。



前へ  二日目へ


ごあいさつ 北京の5.5日 台北無情篇 台南聖地巡礼篇 バブリー上海篇
武夷山への道 濃縮香港篇 濃縮香港篇2003 年末横浜2003 年末年始篇
雑文 台北電脳篇 啓徳無情篇 7K1PGA掲示板


KRS励ましのお便り、金品などは歓迎します
e-mail: おたより