雑踏の誘惑

台北無情篇


14〜17,Jan.1998

北村 家康


光華商場の電脳街

前書

1997年に、私は胆嚢炎という病気をこじらせて、かなり大きな手術をしました。胆嚢と壊死した総胆管のほとんどを切除して、その断端を空腸に吻合するもので、手術そのものは成功したのですが、最初に穴をあけた場所の小腸が癒着してイレウス(腸閉塞)を起こしたり、やっと退院のめどが立ったと思ったらドレーンを抜いた穴が化膿したりして大変苦しみました。この入院中(約2ヶ月)は、ほとんど絶食状態で、中華料理に中毒(精神的依存症というべきか)している私としては、禁断症状が出て困りました。「よーし!退院したら絶対に中華料理を食べに行くぞ!」と涙ながらに誓ったのでした(おおげさな)。退院後3ヶ月を経過して食欲も(体重も)戻りましたので、入院中、すっかりおせわになった妻への慰労を兼ねて台北に旅行したのです。


1日目


1月14日早朝、東京は先日の雪こそ融けたものの、まだ凍っている路面が至る所にあります。成田まで渋滞もなく40分ほどで着きました。ちょっと早く着きすぎたので手続きをした後DCカードの会員待合室というやつを利用して休みました。

JAAの201便は思っていたよりずっと快適で、全く海外旅行という感じがしません。睡眠不足もあってうとうとしているうちに中正国際機場に着陸しました。この着陸は私が今まで経験した中で一番上手で、車輪が接地するのを全く感知できませんでした。

外に出てみると気温は23度で東京と約20度の温度差はさすがに暑く感じます。今回はスケルトンに近いとはいえ一応パックツアーなので、今回お世話になる華倫旅行社の宋さんと迎えのワゴン車に乗り込みます。なんでも日本が不景気なので旅行者がさっぱりこないとか、今回も私たちだけでした。

画像龍山寺中正紀念堂画像


おかげで貸し切りで龍山寺、中正紀念堂、忠烈祠と見て回りました。ただ、翌日以降の観光をキャンセルしているせいで、この日のうちにお土産物屋さんと茶藝館を回られてしまいました。まあご祝儀だと思って高級の高山烏龍茶を買いました。150gが日本円で2千円、高い!

画像茶藝館はこんな感じ


夕食はこれも観光客相手の茶藝店/食料品/石鍋料理で有名な「東楽」で石鍋です。店に入ると売り子のおねえさんが蟻のように群がってきます。ここではご祝儀程度に50元の話梅(紹興酒に入れる砂糖漬の梅干)だけを買いました。それにしても観光客相手のところはみんな日本語が上手で、全く外国に来たという感じがしません。寝不足と旅行の緊張で胃の機能が死んでいてあまり食べられません。まあ、それなりにおいしくいただきましたが。

画像 画像

8畳は楽にある圓山大飯店のベランダ


夕刻から降り始めた雨がだんだん激しくなってきたので、今日の夜遊びは中止です。圓山大飯店の部屋に入ってくつろぐことにします。しかし、それにしてもこのベランダは充分人が住める広さです。計ってみたら8畳の広さでした。浴室もこれなら我が家の全員が並んで眠れるくらいの広さです。TVはNHKの衛星放送だし、ベルボーイは日本人かと思うほど日本語が達者だし、全く異国という実感がないまま夜は更けていくのでした。そういえば、付け焼き刃で覚えた台湾語ですが、その効果は絶大です。ガイドの宋さんに台湾語を教わっていると、彼も本省人なので、中正紀念堂や忠烈祠ではかなり本音に近いと思われる「こんな物は台湾人は皆嫌いね」という意見を聞きました。なんとなく心を許してくれたみたいでうれしかったのでした。

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ごあいさつ 北京の5.5日 台北無情篇 台南聖地巡礼篇 バブリー上海篇
武夷山への道 濃縮香港篇 濃縮香港篇2003 年末横浜2003 年末年始篇
雑文 台北電脳篇 啓徳無情篇 7K1PGA掲示板


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