雑踏の誘惑

北京の5.5日


11〜16,Aug.2000

北村 家康


画像居庸関長城にて

前書

15年来の念願ともいうべき北京ですが、実のところ、この15年間にいろいろ見聞したり、日本と中国をとりまく情勢が変わってきたこともあって、最近の私は中華人民共和国とそこに住む人々について、週に二回必ず中国語講座を聴いていた頃のようには純朴(単純?)な見方ができなくなってきています。それはそれとして、北京はやはり中華文化圏の中心地であることにはかわりはないし、台湾の宝物だけを見て故宮(紫禁城)の本体を見ないというのも心残りなものがあります。また、個人的な目標として、香港の陸羽茶室、台北の圓山大飯店に続き、北京飯店で飲茶(あればの話ですが)をするというのがあります。これを達成しないことには死にきれません。それになんでも広大な中国のことですから、早くしないと体力が追いつかなくなってしまいます。

というわけで、最初で最後のつもりで北京5泊6日の旅行を決行しました。8月11日という繁忙期ながらエアーホテル込みで14万円強という値段でわかるように、毎度おなじみの手製ツアーです。例のごとく日程はその日に決めて、食事は全食「そこらへん」というおなじみのスタイルです。


1日

道路が大渋滞とかで、前回の啓徳ツアーと同じ相棒の廣澤さんが私を拾いにきたのは予定よりすでに一時間近く遅れて12時半に近くなっていました。幸いに湾岸がすいていたので、成田には1時過ぎに着きました。

画像成田空港でのca926便

中国国際航空のca926便は定刻を一時間近く遅れて離陸しましたが、根性をみせて北京機場にはジャストの定刻現地時間の5時45分に到着しました。北京機場の新ターミナルはまだ完成したばかりでで美しく、機体を模したと思われる建物は大変壮大で、相棒によると関空に似ているそうです。

ここで感銘を受けたのは荷物受け取りのコンベアの回りにある自動両替機で、8カ国語くらいで使え、通貨もいろいろなものを人民元に交換できます。レシートも出て全く並ばないので従来評判が悪かった中国銀行の窓口に比べて洗練の極みです。とりあえず2万円交換しましたが所要時間20秒くらいでした。本日のレートは1元13.45円で、どうやらこれを使うと手数料もないようで、それを考えるとt/cよりも得かもしれません。ところで、中国の通貨制度ですが、以前は旅行者は国民とは違う通貨を使っていて、この通貨(兌換券)は決められた場所でしか使えないので、細かいことをしようとするとそれとは別に人民元を用意する必要がありました。しかし、兌換券は6年前に廃止されて、現在は人民元だけになっています。また、紙幣と硬貨の両方が流通していて、北京では主に紙幣、上海では主に硬貨が流通しています。元の下の角や分まで紙幣なので、北京ではしばらくすると財布のなかが紙でいっぱいになってきます。また、人民元は国外持ち出しが禁止されていますので、中国銀行の支店が丸の内と赤坂にあるにもかかわらず、日本であらかじめ人民元を入手することはできません。また、北京には三菱銀行などもありますが、自分の日本の口座から金を引き出すのも簡単ではない筈です。

1階の中国国際航空のカウンターに行ったら出発ロビーに行けというので2階の窓口で帰りの便のリコンファームを済ませます。さて、今度は市内まで行くわけですが、相棒はタクシーと言ったのですが、私はできるだけ現地バージョンの旅行がしたいのでバスということにしました。タクシーの110元程度に比べてバスは一律16元でルートが3つあります。北京駅が終点のa線の乗り場を捜して人に聞きながら行くと、なんと駐車場のなかからの発車です。高速道路では立ってはいけないという規則があるらしく、シートに置いていたトランクをどけるようにと怒られつつ、身動きができない座り方をして、30分ほどで北京駅に着きました。あたりはもうかなり暗くなっています。

今度はタクシーを拾って「建国門外」の「京倫飯店」までといろいろ言ってみたのですが通じません。結局書いた物を見せたのですが、いきなり普通話の発音の自信喪失をしてしまいました。シャレード(夏利)のタクシーは4kmまで10元で、ホテルまで14元ほどでした。ここは日航系のホテルなのでフロントにも日本人がいます。1145号室は南向きでメインストリートともいうべき長安路/建国路に面しています。

画像京倫飯店1145室から建国路を望む

北京は建築ラッシュだそうですが、幅の広い道路にデザインを競うような巨大建造物がそこら中に建っています。これが香港とも台北とも違う大陸の首都のプライドというものでしょうか。まあ東京で言えば、道幅とビルの大きさを3倍くらいにした日比谷通り沿いのような感じでしょうか。

画像やれやれやっと着いた

さて荷ほどきも終わりまして、時間は9時に近くなっています。本格的に食べるには胃がいまいちな感じです。こういうときには屋台の小吃しかありません。と言うよりこれが本題なので、表に出て例の夏利タクシーで北京最大の夜市がある東安門夜市に向かいました。

手持ちバルブ撮影はさすがにブレブレ画像

タクシーが着いてみると「??」という感じです。出ていることは出ていますが、「北京最大」というにはちと寂しいものがあります。びっしり並んでいるというより、道の南側だけにぽつぽつと出ている程度です。このところ天候がひどく悪かったのでそのせいか、あるいは最近巨大ショッピングセンターができたのでそれに吸収されたのか、はたまた時間が遅すぎるのか、だと思うのですが、これはまた日を改めて攻めてみる必要がありますね。

さて、なにを食べようかなと思ってあたりを見回すのですが、さすがに内臓関係や生ものは避けた方が賢明だと思います。と思いつつ通りの向こうを見ると「餃子大王」という小さな店があってそのたたずまいが私を呼んでいます。メニューを見ると一皿5個入りの水餃子がメインで、小皿料理もちらほらあります。で、まず「三鮮餃子」「豚肉香菜餃子」と小皿の「牛肉醤油炒め」と「青菜油炒め」を頼みます。なんと31元で感動モノのうまさ、水餃子から皮を破って出てくるスープはさすがに本場ならではです。私は最近は酒も飲まなくなっているのですが、こういうものを前にしてはどうしようもありません。小ジョッキ程度のビールを6元で追加、相棒もミネラルウオーターを3元、さらに鶏肉韮餃子と豚肉韮餃子を5個づつ追加して5.5元、都合46元(620円)で腹一杯食べていい心持ちになってきました。

そこらへんをちょっと冷やかした後おなじみの夏利を拾ってホテルに戻ります。 今度も「建国門外」は通じるのに「京倫」がどうしても通じません。近くまで来てホテルカードを見せたら、運ちゃんが「北京の京、倫敦の倫」(ベイジンダジン、ルンドンダルン」と教えてくれました。なるほど、これはいいことを聞いた。よくお礼を言って「以後こう言ってみます」と言っておきました。ということで一日目からめいっぱいとばしています。夜になって雨が降ってきました。

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