雑踏の誘惑

台北無情篇


14〜17,Jan.1998

北村 家康


2日目

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「台北市公車路線導遊」の地図に今回の主な目的地を示す


前日の夕方から降り始めた雨は一向にやむ様子がありません。夜半に何度も激しい雨音で目が覚めましたが、朝になっても変わらずに降り続けています。TVのニュースでは東京やソウルの大雪を報じています。こちらは14度くらいだそうで、梅雨時のちょっと肌寒い日という感じです。圓山大飯店のロビーの隣にある「松鶴」でお約束の軽いお粥の朝食を摂ります。ここの朝食は可もなく不可もないといった印象です。食後タクシーで故宮博物院に10時過ぎに着きました。

画像故宮博物院


妻は解説機を100NT$で借りました。私は団体にくっついて解説を盗み聞きする作戦です。約3時間半かけてほぼ全部見ました。前回流した宋代の陶器を今回はじっくり見ました。汝窯の青色は私が思っていたのより少し色が薄かったのですが、すばらしい物でした。むしろ定窯の象牙色の滑らかな肌に私は惹かれるものがありました。

画像定窯 包袱式把壺汝窯 蓮花式温碗画像


残念だったのは、王義之の書(と思われていたもの)と「富春山居図」が見られなかったことです。傷まないように常時展示はしないのかもしれませんが、せめて精巧なレプリカでも見たかったと思いました。まあそれ以外の物もまず納得行くまで見ることができましたので堪能しましたが。知らずにけっこう長い距離を歩いて足が疲れてきました。一旦外に出たものの、無情の雨は相変わらずざんざん降りです。絶対にボられるとわかっているタクシーに乗らないために下の道まで行けば間違いなくずぶぬれです。

画像王義之の書富春山居図画像


結局、雨が小降りになるまで再入場し(当日何回でも可)4階の「三希堂」で収蔵品の写真集を見ながら本来の飲茶、つまり喫茶をすることにしました。今回は台湾の烏龍茶について認識を新たにしました。どこで飲んでも本当においしいのです。このときに選んだお菓子はパイナップルの入った小さなお饅頭でしたが、妻は大変これが気に入ってその後も探したのですが売っていませんでした。

「三希堂」の飲茶画像
                Nobyの欲張り日記より引用


2時過ぎにあきらめて外に出てみると、私の行いがいいせいだと思いますが、雨がほとんど止んでいるではないですか。ここぞとばかり下の道に下りて少し故宮から離れてタクシーを拾い、天母の大葉高島屋に向かいます。目的はここの「珍撰美食」で飲茶の昼食を摂ることです。まずは地下のスーパーでおみやげにするスナック類を買い込みます。ここで時間を取りすぎてしまったのが失敗の原因になりました。「珍撰美食」の飲茶は2時半で休憩に入ってしまうのです。そこまで香港風にしなくても(香港の飲茶は朝7時くらいから午後の2時くらいまでです)と思っても、もう遅いのでした。

画像天母の大葉高島屋ホール


では、とりあえず新光三越まで行こうという話になったのですが、次の失敗は最近全線開通した捷運(MRT)淡水線の駅までの距離を見くびっていたことでした。高島屋の前には芝山站までの道順を描いた札が立っていますが、これを見る限り「すぐそこ」という感じなのですが、実際には1km以上歩くはめになったのでした。第三の失敗は、たかだか10NT$(40円)の差に目がくらんで終点の台北站まで買わずに1つ前の中山駅までしか買わなかったことでした。さんざん歩いて三越に着いたのはすでに4時を回ったころだったのです。これでは台北での予定が消化できないので、台南往復という日程は中止せざるを得ません。

摩天楼のある新光三越画像


ところでこの捷運ですが、私の見たところ完全に失敗に終わっているようです。設備は最新で大変なものですが、乗客が全く乗っていないのです。ほぼ中山北路に沿って走っているのですが、この中山北路がものすごい大渋滞を起こしているのと対照的です。「東楽」の小姐(おねえさん、広く女性全般をさす)に聞いたのですが、みんなバスを利用しているそうです。値段が安いことと路線がきめ細かいのがその理由のようです。確かに、捷運は使ってみても「役に立たないな」という感じは否めません。この駅の周辺に町が発展してくるようならまた違ってくるのでしょうが、これだけ自家用車が普及した現在ではそうは行かないような気がします。


新光三越では、私は紅包用袋(まあ広い意味での祝儀袋)を30NT$で買い、妻は書き初め用の大筆を少し値切って650NT$(この差はなに?)で買ったのでした。何も食べてないのでふらふらするというので、地下の屋台街で私は紅焼牛肉麺(80NT$)、妻は林檎ジュース(25NT$)と巻き寿司(50NT$)を食べました。台湾では巻きずしは地元の人も食べる小吃の一つです。日本のものよりほんの少し甘みが強いようです。夕食の約束に間に合うように急いでタクシーで圓山大飯店に戻ります。夕食は「欣葉本店」です。これも私たちだけなので、ついに送迎はワゴン車ではなく、タクシーになってしまいました。台湾料理の食事はいかにもツアー用のコースでしたがなかなか好吃でした。ここまででツアーコースは終わりなので、ガイドの宋さんともお別れです。帰国の17日には、宋さんは全島一周の添乗に出るので来られないとのことでした。

画像台北駅(火車站)


食後、早速士林夜市に向かいます。まだ時間が早いので屋台はほとんど出ていません。ただし、両側の店は大変ににぎやかで人出もけっこうあります。約2時間ぶらぶら回って、「日本97年終 上/下半期新歌總冠軍」という4枚組のCDを「見」ました。これは去年の日本のヒット曲がほとんど入っているという鋭い商品です。438NT$(約1800円)でした。日本芸能界の情報は本当に早いようです。今回もケーブルテレビのMTVで「日本通」という番組で忍者の日本語講座を見ました。これは日本のヒットソングに乗せて、DJと忍者装束の助手が珍妙な日本語を教えてくれるもの(半分ジョーク番組)です。今回は「お気の毒にね!」というフレーズをやっていました。

こういうものを買ってはいけません画像


次に前回達成できなかった「担担」の印を屋台街の中のはんこ屋で注文しました。日本にも送ってくれるという話でしたが、いまいち信用できないので明日取りにくることにしました。瑪瑙の印材150NT$と篆刻2文字100NT$で計250NT$(約1000円)でした。安い!着る物や茶道具は明日に回して、今日はおとなしくホテルに戻りましょう。妻はここでオレンジジュースを買いました。これは山積みにしてあるオレンジをその場で片っ端から押しつぶして作る物で、コップ1杯に10個以上必要なようでした。これはとてもおいしい、まさにフレッシュジュースです。

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武夷山への道 濃縮香港篇 濃縮香港篇2003 年末横浜2003 年末年始篇
雑文 台北電脳篇 啓徳無情篇 7K1PGA掲示板


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