雑踏の誘惑

台南聖地巡礼篇

北村　家康

２日目　後

私は台南の果物やかき氷を試すつもりできたのですが、相棒のお腹に不安があるそうなので、とりあえずおとなしそうな店を探しました。

　
精進料理系デザート店もある　　　　　　　　　入った喫茶店のメニュー

結局、オープンテラス風な喫茶店に入って、珍珠[女乃]珈琲を飲みました。これは黒タピオカ入りミルクコーヒーということになるのですが、生クリームやアイスクリームなども入ってなかなか美味でした。NT＄50（174円）です。ここでしばらく疲れた足を休めているとすぐそばのビルに日本語学校の宣伝があって、壁面一杯に相田みつをの書で「やれなかった　やらなかった　どっちかな　みつを」という言葉が書いてありました。このニュアンスはガッツ石松の「アビバ」や多くの英語教室のＣＭに近いものがあります。ま、このひらかなが読めてこの微妙なニュアンスが理解できるのなら日本語学習しなくてもいいでしょうが。こちらでは日本語を学習することはそういう位置付けなのかと思いました。ただし、台湾の若者に限って言えば、日本人より英語はかなり上手ですが、日本語に関してはそれほどでもないようでした。まあ、日本の若者が英語以外に片言の中国語や韓国語を喋れるか考えたとき、そのレベルの差ははっきりしていますが。

　
珍珠[女乃]珈琲　　　　　　　　　台湾はどこに行っても関東煮がある

いくらか元気を回復して、だらだら歩きながら駅前のホテルまで帰りました。新光三越の前にも例のごとく放置バイクの海です。台湾ではたぶん一家に２〜３台のバイクがあるような気がします。そのかわり、自転車はほとんど見ません。また、若い女の子はカラフルな生地で作ったマスクをかけてバイクに乗っています。売っているところを見ると「日本で流行しているマスク」のようなことが書いてあります。この「日本で流行している」というのが重要なキーワードのようで、「日本城」という電気店の店頭にも意味不明な日本語が書いてある桃太郎の人形が立っていました。また、このあたりには「台南光華商場」というのがありました。ちなみに台北の光華商場には「台北秋葉原」というのがあります。

　
台南新光三越　　　　　　　　　銘茶の卸売り店

ホテルに戻ると、この旅行の前にアメリカに出張してきたばかりという廣澤さんが、疲れがたまったのか、２時間ばかり寝込んでしまい、私はやっとつながったインターネットでメールのチェックや家族にメールを出して買ってくるものを聞いたりして過ごしました。夕方になって、やっと廣澤さんが生き返ったので、ちょっと買い物がてら夕食を食べようと、先ほどの新光三越と台南光華商場のあたりにでかけました。途中で裏DVDを売っている店を見かけました。普通の映画の中に混じっているので、隣の棚では若い女の子が洋画のDVDなどを選んだりしています。

買い物の第一目的だった中国茶の売店がすべて天仁茗茶だったので、結局なにも買えないまま買い物を切り上げ、夕食に予定していた開山路の「友誠蝦仁肉圓専家」にタクシーで行って見ると、目の前でシャッターを閉めています。「やってる？」と聞くと「没有（メイヨウ）」と言われてしまいました。あたりになにかないか、見回してみても街の中心部からかなりはずれているせいもあって、あまりたいしたものはありません。そこで、タクシーで小北夜市をめざしました。

　
アーケードのある小北夜市　　　　　　フルーツの屋台

この夜市の食べ物屋台はものすごい規模です。ちなみに、最近は台湾でも香港でも路上の屋台は禁止されています。代わりにこの小北夜市のような「観光夜市」という名前がついた公認の屋台街には多くの店が並んでいます。こういう観光夜市には必ず上水道と下水が整備してあって、食器はすべて発泡スチロールの使い捨て、箸も必ずポリ袋に入っています。これらの店で加熱したものを食べる限り下痢や肝炎の危険はかなり少ないと言ってもいいと思います。

　
　　　　　　　　使用前　　　　　　　　　　　空心菜炒め、発泡スチロール容器も見える

いろいろ見て回りましたが、一番人気は並べてある海鮮を選んでの火鍋のようでしたが、さすがに真夏の台南で火鍋という気になれず、メニューがたくさんある屋台に座って、鶏飯、海老炒飯、空心菜炒め、サバヒー湯を注文しました、全部でNT$220（836円）でした。さすがに全部は食べきれず、この夜市では２人で1000円食べたら死ぬなと思いました。食べ終わってもしばらくは汗だらだらで虚脱状態です。その後あたりの店で、なにかおみやげになるものがないか、いろいろ見ましたが、生活用品ばかりでなにも買えず断念しました。さすがに疲れ果ててタクシーを拾ってホテルに帰り、死んだように寝ました。

　
　　　　鶏飯　　　　　　　　　　　蝦仁炒飯

　
サバヒー湯　　　　　　使用後、虚脱状態

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